07/30

(0:45) 今日は警察署に行って免許の住所変更…

のつもりが、叙事詩が書けるほどの大遠征になってしまった。

 

いま住んでいるところの交番では住所変更ができないので、気軽に奈良駅に行って、駅から歩いてすぐのところにあるはず(思い込み)の警察署に行って…

と思って歩き始めたら、なんと30分も歩かないといけないようだ。

30分って。

かつて人類がリアル世界に生きていたころ、肉体がツイッター専用インターフェイスになる前の時代には、人間はそういう単位で歩行ができたらしいという伝説は聞いたことがあるが、まさか自分がその時代を追体験することになるとは思わなかった。

しかし、肉体の歩行機能は幸いまだ退化しきってはいなかったようで、30分かけてはるかな距離を踏破し、警察署に着いた。

 

そのはずだった。

しかし、見てみると工事のようなことをしている。

 

悪い予感がしてネットを見てみると、移転したそうだ。

しかもその移転先は、この星の住人が常用するらしい交通手段(ジドーシャというらしい)でないと行けないような距離だ。

いや、駅から降りてそのまま向かっていれば着けたところだが、旧庁舎の位置からの歩行は現実的に不可能だった。

詰んだ。

 

と思ったが、公共用のジドーシャらしきものがあるようで、それに乗ると新庁舎からそれほど遠くない位置に行けるようだった。

この星では、成体はすべて各自のジドーシャを持っているようで、公共のそれには幼体と老体しかいないようだった。

 

公共ジドーシャから降りて、歩いて(!)新庁舎に向かう。

「歩く」なんていう原始的な手段で移動している生き物はほとんどいない。

しかし、ジドーシャを持たないカーストに対する差別や迫害はないようで、幸い無事に警察署にたどり着くことができた。

考えてみると、ジドーシャを持たない成体は淘汰されるので、存在しないカーストに対する迫害というものはそもそも成り立たないのだろう。

 

前の星の免許証はそのまま使えるようだった。

裏の住所だけ書き換えてもらった。

 

その後、また歩いてバイク屋に行った。

バイク屋には、ゲンツキという交通手段が売っている。

ジドーシャというのは箱形で外界から保護された乗り物であるのに対し、ゲンツキというのはシールドのない乗り物だ。

もちろん、この星の住民はすべてジドーシャを持っているのだろうが、近距離用の手頃な移動手段としてゲンツキを買うものもいるのだろう。

ゲンツキしか持たないという住人はいるのだろうか?

 

そこの店の人と話をして、前にかごの付いたダサいタイプのゲンツキを買うことにした。

店の人によると、ダサいからあまり盗まれないそうだ。

まあ、ぼくもダサいと思うのだが、盗まれにくいというのと荷物運びに役に立つということで、かご付きのを選んだ。

 

値段は、保険やヘルメットやロックを合わせても、地球(MacBook Pro Retina 13インチ メモリ16GB)の半分ほど。

まあ、行動範囲が広くなることを考えると、それだけの価値はあるかもしれない。

特に問題がなければ、今週日曜には取りに行けるらしい。

しかし、金曜の出勤はどうしようか。

自転車か、電車+バスか…。

 

しかし、これはどうもジドーシャなるものの購入を真剣に検討しなければいけないかもしれない。

 

前の星にもジドーシャなるものはあったのだが、そのころのぼくは、ジドーシャというのは、大企業に入って年功序列で給料が上がって郊外に35年ローンで大きな家を建てて専業主婦の妻と子供二人がいて庭には犬小屋があって大きな白い犬を飼っていて休日は接待ゴルフに行くような階層(かなりステレオタイプだ)(しかし、ぼくの育った家もそういう中流家庭だった)が持つような、神々の贅沢品というイメージだった。

しかし、こちらではジドーシャというのは貧富にかかわらず持つものらしい。

ジドーシャが買えない貧民はどこにいるんだろう…? と思ったけど、考えてみると前の星では住居にかかる費用が高かったので、住居費とジドーシャ費を合わせると大差ないのかもしれない。

つまり、前の星で住居費が払えない成体がホームレスになっていたように、この星では住居費とジドーシャ費が払えない成体はホームレスになっているのだろうか。

 

ぼくはできればジドーシャというものを買いたくない(天文学的な購入費・維持費がかかるらしい)けど、やっぱり住居費が浮いた分を払うつもりで買う必要があるのかもしれないな…。

しかし、20年ぐらいペーパードライバーなので運転するのも怖いな…。

はぁ。