07/14

(23:43) 今朝も10時過ぎまでホテルの部屋でダラダラしていた。

清掃の人にドアをノックされて、さらに電話までかかってきた。

うちらぐらい怠惰な旅行客は多くないのだろう…。

 

タクシーで中華街のチョロンに行く。

20分ぐらい乗って750円。

安い。

 

チョロンはすごい熱気だった。

(熱気があると観光ポイントが高い)

(自分の人生を生きていない)

(とツイッターでつぶやくと、そもそも旅行先でやりたいことがない時点で詰んでいるのではというもっともな指摘があった)

(いつもであれば外国語を話すことがそれにあたる)

ベトナム語はほとんど話せないのでそれがつらい)

(しかし、前回のフランス・スペイン旅行では外国語を話すというやりたいことはできていたのに、それでも観光警察による処分を恐れていた)

(「やりたいこと」があれば開き直れるかというと、例えばパリに行ってエッフェル塔も凱旋門も見ないでいて、「フランス語が話せたからいいんです」と言うのはやはり精神力がいる)

(そもそも、そういうやりとりをすると話が定型から外れてしまう)

(コミュニケーション能力がないから、話が定型から外れるのはつらい)

(旅行したという事実を隠せばいいのでは?)

(嘘をつくのは嘘の管理コストがかかるから論外)

(やはり自分の人生を生きていない感…)

(そもそも、本来の自分そのままで生きようとすると、すべての活動を停止してツイッターをするだけのロボットになってしまう)

(その本来の自分ではやっていけないので、エミュレーションレイヤーの上の人格で生きることになる)

(そうすると、他人とのやりとりの中で旅行話が生じることになり、その対処が必要になる)

(一般的に人間が取らないような行動(観光地で観光しないとか)を取ってしまうと、その説明コストがしんどい)

(エミュレーションレイヤー上の設定人格に、観光地で観光をしないようなもっともらしい設定を追加するのはどうだろうか)

(そういう設定が思いつかない…)

(つらい)

 

チョロンではいろいろな物が売っていた。

(イチゴ文)

言語学ネタ)

 

その中の布屋で布を買った。

E が広東語で話して交渉した。

やはりベトナムには広東系が多いのだろう。

 

それを買っただけで、またタクシーで中心街に帰る。

こういうアジア的な熱気にあふれた場所は、中国人の E にはあまりアピールしないのだろう。

(中国基準では、こういうアジア的な場所は観光ポイントが低そうだ)

(観光ポイントは文化によって違うのだろう)

 

昼食は、ベトナムに来て初めて、トリップアドバイザー様のご託宣を仰がずにそこらへんの適当な店に入った。

(食事でそうするのは初めてという意味)

(適当な喫茶店には入ったことがある)

 

フォーの店。

鶏肉のフォーと飲み物のセットを2人とも頼んだ。

飲み物はサトウキビの汁。

現地っぽい。

(現地っぽいと観光ポイントが…)

(そろそろしつこい)

(ここまでしつこくなかったとでも?)

 

5000円追加で両替した。

1万円出して5000円だけ両替してほしいと言うと露骨に嫌な顔をされた。

それでもちゃんとお釣りを日本円でもらえた。

 

E がケーキのようなものを食べたいと言うので、その辺の高級そうな喫茶店に入った。

ケーキと、ミルクコーヒー二つを注文。

(後で E に、自分の分のコーヒーはいらなかったと言われた)

(ぼくからすると、喫茶店で一人しか飲み物を頼まないようなことはできればしたくないのだが)

(E のほうがだいぶ精神的に強い)

(既知)

 

ホテルに帰って休憩。

夜は E のお気に入りのレストランで食べる予定で予約を入れた。

 

しかし、ホテルを出るときになってものすごい大雨が降ってきた。

タクシーも空いているのが全然走っていない。

 

しょうがなく歩いて行こうとしたが、あまりの雨の激しさに途中で挫折してホテルに戻った。

(傘で防ぎきれるレベルではなかった)

(またぼくの判断ミスで責められることになってしまった)

(そもそも、ぼく一人なら誰の顔色を伺う必要もないので、どれだけ大雨でどれだけ濡れてもそのまま歩いてレストランまで行けるところだ)

(E と一緒では行けないというのを予測するべきだった…)

(そもそも、ぼく一人ならそのレストランに行くこともなかったところだ)

(つらい)

 

晩ご飯は日本から持ってきたクリーム玄米ブランですませることにした。

 

しかし、8時からは A. O. ショーというのがある。

一人 5000円近くもお金を払ってしまっている…。

(ぼく一人ならサンクコストを考える必要はないところだが、E と一緒なので考えないといけない)

 

ここで E に、払い戻しができないか電話で聞いてくれと言われた。

無理に決まってるのに…。

ぼくは無理に決まっていることをダメ元で聞くというのがすごく苦手で、死んだほうがマシなぐらいだ。

しかし、上位存在の意向なのでしかたがない…。

 

電話をすると、あっさりダメと言われた。

そうですよねという感じ。

死にたい。

 

しかし、幸いなことに、8時のショーの前には雨がだいぶ弱くなっていた。

それに、出かけようとしたちょうどそのときにホテルの前でタクシーから降りた人がいたので、スムーズにそれに乗ることができた。

 

英語で"Opera House" と言っても通じないので、地図の表記を見て"Nhà hát Thành phó"と言うと無事に通じた。

試しに運転手さんに「英語話せますか?」とベトナム語で聞いてみると、話せないという返事。

「日本人?」と聞かれ、「はい」と答えると、「トーキョー」と言って自分を指さす。

東京に行ったことがあるということのようだ。

やっと少しベトナム語が話せてよかった。

 

ショーは、正直なところあまり印象的ではなかった。

E はみんなが拍手しているところで「なんでみんな拍手してるの?」とわざわざ聞いてきた。

返事はしなかったけど、まあ礼儀上のものだろう。 

E はそういうところがすごく正直だ…。

(礼儀と正直さのうちより重要なのはどちらだろうというぼんやりとした考えがふと浮かんだ)

(こういう問いの立て方はよくない)

(「重要」という概念は「誰にとって」ということ抜きには語れない)

(意志を持つ存在がなければ何が重要かという問い自体が意味をなさない)

(この場合は誰にとってだろうか)

(演技者にとってというのが考えられるが、それは演技者の問題であって、ぼくが考える問題ではない)

(一般的に、求められもしないのに、正常な判断力を持つ他人の代わりに考えるべきではない)

(あくまで、ぼくはぼくにとってどうであるかを考えることに徹しよう)

(さて、ぼくにとっては E の礼儀と正直さはどちらが重要だろうか)

(E が他人に対して礼儀のない行動を取ると、ぼくは居心地が悪く感じる)

(しかし、それはぼくが自他の区別がきちんとできていないからだろう)

(ぼくが居心地が悪く感じるということを E に伝えることはできても、そのうえで E がどうするかは本人の問題だ)

(正直さはどうだろう)

(E がぼくに対して正直でいてくれることは極めて重要だ)

(一般的に、協力関係にある人間同士はお互いに正直でいるほうがよい)

(ぼくと E は夫婦である以上協力関係にある)

(というわけで、この問題は解決した)

(どうでもいい考えを書くことのコンテンツ性を狙ってしまった部分はある)

(しかし、明示的に書かなくても、だいたいこういった内容のことを考えている)

(おかしいのでは)

(いまさら)

 

終わってから、適当な店で適当なご飯を食べた。

(E だけ)

(ぼくはお腹が空かないので)

ペットボトルのお茶が甘いことに E は憤慨していた。

(E はこういうところでいちいち怒る)

(ぼくは感情が生じること自体めったにない)

 

ホテルに帰ってから、ドライヤーで靴を乾かすことを試みる。

ドライヤーを靴に入れて温めていたらしばらくして止まってスイッチも入らなくなって、壊してしまったかと焦ったが、ちょっと放置してからまたスイッチを入れたら無事に動いた。

 

そういえば、iPhone の指紋センサーが反応しなくなっている。

日本に帰ったらジーニアスバーに持っていかないと…。